数える作業の設計
漏れない・被らない
できるようになること
- 確率計算において「正しく数えること」が土台になる理由を説明できる
- 数え漏れが起きやすい典型パターンを指摘できる
- 数え被りが起きやすい典型パターンを指摘できる
なぜ確率計算の前にこの話をするか
詳しくは別の単元で紹介しますが、確率の式そのものは実はとても単純です。
条件に当てはまる結果の総数 ÷ 起こりうる結果の総数
つまり、分子・分母の結果の総数を正しく数えてさえいれば、あとは割り算をするだけです。 言い換えると、正しく数えることが確率計算において最も重要になります。
この単元では、数え間違いが起きにくい形に整えるための設計手順をまとめます。 ポイントは漏れなく被りなくです。
数える作業の設計:3ステップ
Step 0:まず「何を1つの結果とするか」を決める
「数える → 割る」をするために、まず何を1つの結果として扱うかを決めます。 ここが曖昧だと、分子・分母の数え方が途中で変わってしまいます。 (詳しくは「試行と結果」「標本空間」の単元を参照してください。)
Step 1:全体を数え切れているか(漏れない)
数えるべき結果が抜けると、分子も分母もずれてしまい、正確に数えられません。
よくある漏れのパターン:
- 境界の漏れ:「3以下」に3を入れ忘れる(境界チェック)
- 「少なくとも1回」の漏れ:1回だけのケースが抜ける
- 場合分けの抜け:「男が多い/女が多い」だけだと同数が落ちる
回避するために確認すること:
- 境界(端)を確認する:0回/最小/最大/同点/「少なくとも」など
- 場合分けをしたら、この分け方で全体が埋まっているかを確認する
- 代表例を1つずつ当てはめて、どこに分類されるかを確認する
Step 2:同じ結果を2回数えていないか(被らない)
同じ結果が二重に数えられると、数が増えてしまい正確に数えられません。
よくある被りのパターン:
- 「偶数または3以下」で2を二重に数える(共通部分)
- 「Aの場合」「Bの場合」に分けたが、実はAかつBがある(場合分けの重なり)
- 「順序あり/なし」を途中で混ぜる(ルール変更)
回避するために確認すること:
- 場合分けが互いに重ならない(排反)設計になっているかを確認する
- 「または」で足すとき、重なり(共通部分)があるかを確認する
- 「順序あり/なし」を途中で混ぜていないかを確認する
まとめ
数える作業を進めるときは、次の2点を確認します。
- 漏れ:全体を数え切れているか(境界・例外・場合分けの抜け)
- 重複:同じ結果を2回数えていないか(場合分けの重なり・共通部分)
この2点を意識して数える形に整えてから、「数える → 割る」の計算に進みます。