確率の定義(等確率モデル)

「数える → 割る」が成立する前提

難易度 Lv 2 / 10想定時間:約15

できるようになること


なぜ「数える → 割る」が成立するのか

サイコロを1回振るとき、「3以下が出る確率」は多くの人が

と考えます。

この考え方が成立しているのは、暗黙に、どの目も同じ確率で起きるという前提を置いているからです。

教科書では、こういう状況を「同様に確からしい」と表現します。 この単元では、「同様に確からしい」ことを前提にして確率を計算するモデルを「等確率モデル」(equally likely model)という言葉で整理します。

等確率モデルとは

標本空間を Ω\Omega とします。 等確率モデルとは、標本空間の各結果 ωΩ\omega \in \Omega が、

すべて同じ確率で起こる(同様に確からしい)

とみなして計算するモデルです。

確率の定義(等確率モデル)

等確率モデルでは、事象 AAAΩA \subseteq \Omega)の確率を次の式で定義します。

P(A)=AΩP(A) = \dfrac{|A|}{|\Omega|}

ここで A|A|AA に含まれる結果の数、Ω|\Omega| は全体の結果の数です。

「同様に確からしい」という前提のもとで確率を定義している、という点がポイントです。

標本空間の選び方で「同様に確からしい」が変わる

同じ現象でも、標本空間の取り方によって、同様に確からしい(等確率として扱える)かどうかが変わります。

サイコロを2回振る例でみていきましょう。

(A) 順序つきの組を結果にする

標本空間を

Ω={(i,j)i,j{1,2,3,4,5,6}}\Omega = \{(i, j) \mid i, j \in \{1, 2, 3, 4, 5, 6\}\}

とします。このとき Ω=36|\Omega| = 36 です。 通常は、各 (i,j)(i, j) を同様に確からしい(等確率)として扱えます。

(B) 合計を結果にする

標本空間を

Ω={2,3,,12}\Omega = \{2, 3, \dots, 12\}

とします。このとき Ω=11|\Omega| = 11 です。 ただし、この Ω\Omega は同様に確からしくありません。

つまり Ω={2,3,,12}\Omega = \{2, 3, \cdots, 12\} を標本空間にして、

P(合計が7)=111P(\text{合計が7}) = \dfrac{1}{11}

のように「数える → 割る」をそのまま適用すると、正確な確率を計算できません。 計算するためには、各要素に対して「起こりやすさ」を紐づける必要があります。

まとめ

教科書の「同様に確からしい」は、「等確率モデル」という前提を置くことと同じ意味です。

等確率として扱えない場合、「数える → 割る」で確率を計算できません。 標本空間を設計するとき、各要素が等確率かどうかを必ず確認してください。