加法定理

排反でないとき、どう足すか

難易度 Lv 2 / 10想定時間:約15

できるようになること


排反でないときはそのまま足せない

「排反と確率の足し算」の単元では、確率をそのまま足してよいのは排反のときだけ、という話をしました。 排反でないときにそのまま足すと、共通する部分が二重に数えられてしまうからです。

では、排反でないとき P(AB)P(A \cup B) はどう計算すればよいのでしょうか?

例題:排反でない「または」

A:「偶数が出る」、B:「3以下が出る」

という例を思い出してみましょう。P(A)P(A)P(B)P(B) はそれぞれ、

P(A)=36,P(B)=36P(A) = \dfrac{3}{6}, \quad P(B) = \dfrac{3}{6}

と計算できます。ここで P(A)+P(B)P(A) + P(B) とすると、「2」が二重に数えられてしまいます

P(AB)P(A \cup B) を正しく計算するには、二重に数えられている部分(共通部分)を引く必要があります。

加法定理

排反でないときの「または」は、共通部分を差し引いて計算します。 これを加法定理(addition rule)といいます。

P(AB)=P(A)+P(B)P(AB)P(A \cup B) = P(A) + P(B) - P(A \cap B)

加法定理のベン図

先ほどの例では AB={2}A \cap B = \{2\} なので、

P(AB)=36+3616=56P(A \cup B) = \dfrac{3}{6} + \dfrac{3}{6} - \dfrac{1}{6} = \dfrac{5}{6}

と計算できます。

加法定理がなぜ成り立つのか

ABA \cup B は次の3つの排反な部分に分けられます。

AB=(ABc)(AcB)(AB)A \cup B = (A \cap B^c) \cup (A^c \cap B) \cup (A \cap B)

これら3つは互いに排反なので、

P(AB)=P(ABc)+P(AcB)+P(AB)P(A \cup B) = P(A \cap B^c) + P(A^c \cap B) + P(A \cap B)

また AABB はそれぞれ次のように分けられます。以上から、

P(AB)=P(ABc)+P(AcB)+P(AB)P(A \cup B) = P(A \cap B^c) + P(A^c \cap B) + P(A \cap B)

=(P(A)P(AB))+(P(B)P(AB))+P(AB)= (P(A) - P(A \cap B)) + (P(B) - P(A \cap B)) + P(A \cap B)

=P(A)+P(B)P(AB)= P(A) + P(B) - P(A \cap B)

が導かれます。

加法定理を使うときの確認ポイント

加法定理を使う場面では、P(A)P(A)P(B)P(B) に加えて P(AB)P(A \cap B) が必要になります。

実務では、P(AB)P(A \cap B)(両方が同時に起きる確率)を求めるデータや情報が手元にないことも多いです。

計算に進む前に次の点を確認してください。

まとめ

排反と排反でない場合をまとめると、次のように整理できます。

「A または B」の確率を求めるときは、まず排反かどうかを確認してから計算に入ることが大切です。 排反でない場合は P(AB)P(A \cap B) が追加で必要になります。