条件付き確率の意味
情報が与えられると、確率が変わる
難易度 Lv 3 / 10想定時間:約20分
できるようになること
- 条件付き確率の式を使って計算できる
- 「与えられた情報」によって分母が変わることを説明できる
- P(A∣B) と P(B∣A) の違いを説明できる
途中で情報が与えられる
まず、次の状況を考えてみます。
Q1. サイコロを1回振るとき、「2の目が出る確率」はいくつでしょうか?
では次です。サイコロを振った後で、「偶数が出た」 という情報が分かったとします。
Q2. このとき、「2の目が出る確率」はいくつでしょうか?
同じ「2の目が出る確率」でも、情報が与えられると答えが変わります。
この単元では、その理由を整理します。
情報が与えられると何が変わるか
Q1 と Q2 では、答えが変わります。
どちらも「2が出る確率」を聞いているのに、なぜ答えが変わるのでしょうか。
それは、確率を考えるときの「全体(分母)」が変わるためです。
Q1 は、結果の全体が、
Ω={1,2,3,4,5,6}
です。一方で Q2 では「偶数が出た」という情報によって、全体が
B={2,4,6}
に絞られています。このため、
Q1:61,Q2:31
が答えとなります。
条件付き確率とは
A:「2の目が出る」、B:「偶数が出る」とします。
「偶数が出た」という情報が与えられた上で、「2の目が出る」確率を
P(A∣B)
と書きます。これは、B の中で A も起きている部分(A∩B)の割合を意味します。
この確率のことを、条件付き確率(conditional probability)といいます。
条件付き確率では、Ω 全体ではなく、B を「新しい全体」として見直すのがポイントです。

条件付き確率の計算
等確率モデルでは、
- 分母:情報が与えられたことで残った結果の数(∣B∣)
- 分子:その中で A も満たすものの数(∣A∩B∣)
として、
P(A∣B)=∣B∣∣A∩B∣(∣B∣>0)
と計算します。
等確率モデル以外でも使えるよう、より一般的な形で定義すると、
P(A∣B)=P(B)P(A∩B)(P(B)>0)
となります。
乗法定理:積の確率を掛け算で計算する
条件付き確率の定義式の両辺に P(B) を乗じると、
P(A∩B)=P(B)⋅P(A∣B)
が得られます。これを乗法定理と呼びます。
- まず B が起きる
- その上で A が起きる(B が起きたという前提のもとで)
という順序で同時に起きる確率 P(A∩B) を計算することが、この式の意味するところです。
同じように、
P(A∩B)=P(A)⋅P(B∣A)
と計算することもできます。
条件付き確率の具体例
サイコロを1回振ります。
A={2以下の目が出る}={1,2}、B={偶数が出る}={2,4,6} とします。
例1:「偶数が出た」という情報が与えられたとき「2以下の目が出る確率」
P(B)=63=21,P(A∩B)=P({2})=61
なので、
P(A∣B)=P(B)P(A∩B)=1/21/6=31
となります。
例2:「2以下の目が出た」という情報が与えられたとき「偶数が出る確率」
P(A)=62=31
なので、
P(B∣A)=P(A)P(A∩B)=1/31/6=21
となります。
同じ A∩B の重なりを見ていても、与えられる条件(∣ の右側)が変わると分母が変わるので、条件付き確率も変わります。つまり一般的には、
P(A∣B)=P(B∣A)
となります。(たまたま一致することはあります。)
まとめ
情報(条件)が与えられると、確率を数えるときの全体(分母)が変わります。
B が起きたという情報が与えられたとき、A が起きる確率を条件付き確率といいます。
P(A∣B)=P(B)P(A∩B)(P(B)>0)
また、両辺に P(B) を乗じることで乗法定理が得られます。
P(A∩B)=P(B)⋅P(A∣B)
実務で条件付き確率を使うときの確認ポイントは2つです。
- 何が「与えられた情報」(∣ の右側)で、何が「知りたいこと」(∣ の左側)かを区別する
- P(A∣B) と P(B∣A) は一般に異なる。どちらを求めているかを明確にする