事象
標本空間から「知りたいこと」を切り出す
できるようになること
- 事象を集合として書き表せる
- 「事象が起きた」の意味を標本点と集合の言葉で説明できる
- 根元事象・空事象・全事象の違いを説明できる
標本空間は「メニュー」、事象は「注文」
標本空間の単元で、「起こりうるすべての結果」を並べた標本空間について学びました。しかし、標本空間を作っただけでは確率は計算できません。次に必要なのは、標本空間から知りたいことを切り出すことです。
数学の世界では、この「知りたい結果の集まり」のことを事象(event)と呼びます。
たとえるなら、
- 標本空間:レストランの全メニュー(何が提供されうるか)
- 事象:あなたの注文(その中から、何を頼みたいか)
事象は標本空間の「部分集合」
少し数学的な表現をすると、事象は標本空間の部分集合と定義されます。 標本空間という大きな円の中にある「小さな円(部分集合)」が事象である、とイメージすると理解が深まります。

数学の言葉で表現する
ここまで標本空間・結果・事象という概念を学んできました。 これらの用語を数学的な表現で整理しておきます。
1. 標本空間
確率を考えるとき、まず「起こりうる結果を全部まとめたもの」を用意します。 これを標本空間といい、ふつう (大文字オメガ)で表します。
例:サイコロを1回振る
2. 標本点(1回の試行で実際に起きた「結果」)
標本空間 の中の、1つ1つの要素(結果)を標本点といいます。 標本点はふつう (小文字オメガ)で表します。
これは、 が の1つの要素であることを数学的に表現したものです。
例:サイコロを1回振って「3」が出た場合、 と表します。
3. 事象(起きてほしい条件の集合)
事象は、標本空間の中から「条件に合う結果だけ」を集めたものです。 標本点という言葉を使って表現すると、条件を満たす標本点の集合といえます。
事象 は標本空間 の部分集合として表され、 と書きます。 これは、 が の部分集合であることを数学的に表現したものです。
例:サイコロを1回振って「偶数が出る」という事象は、
事象の例:条件を「集合」として書き換える
集合を使った表現に慣れるために、サイコロ1つ投げを題材に、いくつか事象の例を紹介します。
例1:「3以下が出る」
例2:「偶数が出る」
例3:「4以上が出る」
言葉のままだと曖昧になりやすい条件も、集合として書くことで「何を数えるか」がはっきりします。
「事象が起きる」とは何を意味するか
標本点 が実際に起きたとき、それが事象 の中に入っていれば「事象 が起きた」といいます()。
例:事象 (偶数)のとき、
- が出た → なので、偶数が出た(A が起きた)
- が出た → なので、偶数が出なかった(A が起きなかった)
標本空間が変わると事象も変わる
事象は標本空間の部分集合なので、条件が同じでも標本空間が変わると事象の書き方も変わります。
「偶数の目が出る」という同じ条件でも、
例1:出た目をそのまま結果とする場合
事象 (偶数が出る)
例2:偶数か奇数かを結果とする場合
事象 (偶数が出る)
どんな を採用するかで、事象 の書き方が変わります。
特別な事象
事象の中でも特別な名前がついているものを3つ紹介します。 (サイコロは1〜6の目が出る通常のものを想定しています。)
1. 根元事象
標本点1つからなる事象のこと。 例:サイコロを投げて1が出る。
2. 空事象
起こりえない事象のこと。記号 で書きます。 例:サイコロを投げて7が出る。
3. 全事象
試行の結果、必ずどれかが起こる事象のこと。標本空間そのものです。 例:サイコロを投げて「1〜6のいずれか」が出る。
まとめ
事象とは、標本空間から知りたい結果を切り取った集合(=標本空間の部分集合)です。 言い換えると、条件を満たす結果の集まりともいえます。
事象が起きるとは、出た結果がその集合に入っていることを意味します。